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バナナフィッシュ(2)
バナナフィッシュ(2) (JUGEMレビュー »)
井上和彦,アクション百田,古澤徹,松本保典,ラジオ・サントラ
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BANANA DREAM

少女漫画BANANAFISHの二次創作ブログです。アッシュと英二の幸せな日常話を中心に、バナナフィッシュのキャラクター達とのギャグ・パロディ創作小説を掲載しています。
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バナナフィッシュ版白雪姫・7 〜アッシュ王子が恋をした〜
0

     旅人が森の中で倒れていると伊部から知らされた7人の小人は、伊部
    と共に玄関先にでてきた。だが、そこに旅人の姿はなく、代わりに
    英二姫が倒れていた。


     姫の顔色は青白く、瞳はうつろで意識は朦朧としていた。


    「英二姫様! どうされました? 旅人はどこへ行ったのですか? 」
     慌てて伊部が英二姫を抱き起したが姫の反応はない。伊部は何が
    起こったのか分からなかった。


    「姫が倒れてる! 」
    「首に毒針が刺さっている! 」
    「大変だ! 大変だ! 」
     小人達はパニックになり、7人でその場をぐるぐる回りだした。


    「君達、何か方法はないかね?」
     伊部は小人達に尋ねた。


    「ここから10分ほど歩いたところに『聖なる泉』があるから、
     その泉で英二姫の毒を清めよう! 」


     小人達と伊部は、英二姫を抱き抱えて『聖なる泉』へむかった。


           ***


     その頃、アッシュ王子とマックスは小人の家にたどり着いた。
     その家の窓から、ランプの光がもれていた。
    「森の中で見た光はこの家の明かりだったのか……」


     アッシュ王子とマックスは小人の家とその周辺に悪魔らしきものが
    いないか確認することにした。すると玄関先にアッシュ王子の愛馬バディ
    がいたので驚いた。


    「バディ! こんなところにいたのか!! 」
    「えっ! バディ!」


     アッシュ王子とマックスは喜んでバディの元にいき、その白い体をなでた。
     バディも2人と再会できて嬉しいのか、体を摺り寄せて甘えてきた。


    「アッシュ王子、この家の住民がバディを保護してくれてたのかも
     しれません」
     マックスが小人の家の窓をのぞきこんだ。


    「そうだな……礼を言わねば」
     王子も窓をのぞきこんだが、人のいる気配はなかった。


     念の為、2人は木製の玄関を静かにノックしてみた。トントンと軽い音が
    鳴り、ノックのかえる音を待ったが反応はなかった。ゆっくりとドアを押す
    と、ギィ……とひらいた。


    「開いたぞ? いやに不用心だな……」
     鍵が開いているとは思いもよらなかった王子は、これは罠ではないかと
    疑った。だが意を決して 王子は小さな玄関――背の高い王子が通ると
    ドアの頂上で頭が当たるだろう――そこから小人の家に入った。


     マックスも小人の家に入った。まわりを見渡すと、小さな家の中は
    で家具も食料も全てミニサイズになっていった。


    「まるで子供のおもちゃだな。ここは子供だけで暮らしているのか? 」
     疑問に感じながら アッシュ王子は部屋の中を歩いた。すると机の上に
    何枚かの写真があった。


    「この家の住民か? 」
     王子は何気なくその写真を手にとった。


    「これは……! 」


     王子はそこに写る人物を見て驚いた。写真を手にする指が震え、全身に
    衝撃が走った。こんな経験は初めてだった。王子は何が起こったのか
    分からなかった。


     それは――伊部が撮影した白雪姫の写真だった。


     雪のように肌の色が白く柔らかそうで、意志の強そうな大きく澄んだ
    黒い瞳、艶々とした黒い髪――王子はその瞳を見た途端、吸い込まれそう
    な感覚におちいった。
    (なんて美しい人なんだ……!! この人は一体誰……? )


     アッシュ王子は写真の白雪姫に一目ぼれをしてしまった。


      「アッシュ王子?――わぁ! 綺麗なお方ですね! この紋章はスノー王国
     の……まさか、このお方が『白雪姫』では? 」
     マックスは英二姫の写真を見て驚いた。


    「英二姫……噂の『白雪姫』か!……こんな美しい人を見たのは初めてだ」
     王子は写真を食い入るように見つめた。その頬が少し赤くなっていた。


    「アッシュ王子、照れていませんか?
     もしかして……白雪姫をお好きになられましたか……? 」
     マックスが王子をからかった。


    「マックス、つまらぬことを言うな」
     王子は否定しなかった。


    「この家の住民は……恐らく 白雪姫のファンなんですよ。
     こんなにたくさんの写真を持っていますからね」


    「そうだな、住民が帰ってくるのを待つか……」
     2人はこのまま待つことにした。


           ***
      

     小人のアキラ、ボーンズ、ショーターが英二姫の着替えを取りに家へ
    戻ってきた。すると玄関先に見知らぬ馬がいて、家の中から誰かが話す
    声が聞こえてきた。
     

    「わ、誰だよあんた達!」
     小人ボーンズが見知らぬ人間をみて驚いた。


    「小人? お前達が森の悪魔なのか? 」
     アッシュ王子もはじめて小人を見て驚いた。


    「キャー! カッコいい人! 王子様みたい!
     ……それとおっさん! 」
     小人アキラがはしゃいで言った。


    「おっさんって何だよ! 」
     マックスがムキになって怒った。


    「あんた達、リンクス国の人間だな。何の用だ? 」 
     小人ショーターが眉を上げて問いただした。


     アッシュ王子はこれまでのいきさつを小人達に説明した。


    「そうなのか……あの白馬は、元々あんたの馬なんだな」
     ショーターは納得したようだった。


    「あの白馬をあなたに返さないと」


     王子は小人達が理解してくれてほっとした。


    「すまない。迷惑をかけたな。御礼になればよいのだが……
     これは持ち主を助ける力があるらしい。受け取ってくれ」


     アッシュ王子は身につけていた銀のペンダントをショーターに
    渡した。ショーターは純銀のペンダントを見て驚いた。これを
    街で売れば当分の間遊んで暮らせるに違いない。


    「あのさ、王子……白馬を助けたのは、スノー王国の『白雪姫』だよ」
    「え? あの写真の姫が? どういうことだ? 」


    「スノー王国に入った白馬が処分されそうになったのを
     白雪姫――英二姫が止めさせたんだよ」
     ボーンズが説明した。


    「そうよ。だからペンダントは英二姫に差し上げるべきだわ」
     アキラも助言した。


    「英二姫が……この美しいお方は大変勇気のあるお優しいお方だ」
     アッシュ王子は英二姫の行動力と優しさに感心した。


    「英二姫はここに来られたことがあるのか? 」
     マックスが小人に聞いた。


    「あぁ。でも今は事情があってここにいない」


    「では君たち……すまないが、もしここに姫が来られたらこれを
     渡しておくれ。 我々はそろそろ行かねばならない」
     王子は表に出た。マックスも後に続いた。


    「どこへ行くの? 」
     アキラが残念そうに言う。


    「――悪いが、我々にも事情があって言えないんだ」

    「分かったよ。でも小人については誰にも言わないでくれよ。
     それが白馬を返す条件だよ。」
     小人ショーターはハッキリと言った。


    「分かった……それともうひとついいか?
     英二姫の写真を私に一枚いただけないか? 」


    「たくさん焼き増しをしたから、構わないぜ」
     小人ボーンズが王子に写真を渡した。


     王子は受け取った姫の写真を見て優しくほほ笑んだ。
     小人アキラが、王子の様子をみて何かを感じ取った。


    「ねぇ、私、王子様の写真を撮影したいわ!
     イベのカメラがここにあるもの。いいでしょ? 」
     アキラがピョンピョン跳ねながらお願いをした。

    「あぁ……別に構わないよ」


    「私が撮影しようか。君達小人にはこのカメラは使い
     づらいだろう? 」
     マックスが提案した。その場で王子を撮影した。


    「王子様、ありがとう。もし英二姫がここに戻ってきたら
     王子様の写真を見せますね」


     小人アキラがにっこり笑った。王子はあいまいな笑みを
    浮かべた。


    「……では出発する。君達、ありがとう。もし英二姫に
     お会いしたら御礼を言っておいてくれ! 」


     アッシュ王子は小人達に見送られながら、白馬バディに乗って
    出発した。


    「……王子様、あのペンダントは女王から渡された魔力のある
     ペンダントでしょう? 小人に預けて大丈夫ですか? 」
     マックスが聞いてきた。


    「あれにどのような魔力があるか俺は知らない。あれを持っておくと
     命が危機にさらされた時、非常に役立つと聞いていたがな」


    「じゃぁなおさら持っておかれた方が……」
    「俺は必要ないさ。英二姫が持っていた方がいい……」
     王子は遠くを見て少しだけほほ笑んだ。


    「我々はスノー王国に入って、英二姫に直接会って渡せば
     よかったのではないでしょうか? 」
    「俺は国を捨てた人間だぞ。仮に王子としてスノー王国の英二姫に
     面談を求めても、そう簡単に会わせてもらえないだろう」


    「そうかもしれませんね……とりあえずスノー王国へ行きましょう!」


     二人は更に森の奥へと進んでいった。

    <続>

    らぶばなです。
    ようやくアッシュ王子が(写真の)英二姫に出会い、恋をしました。
    今回から原作白雪姫のストーリーを無視した内容になっていきます。
    アッシュ王子の「最高の告白」を盛り上げるため、今回はすれ違いになりました。
    英二姫と王子の恋愛モードを上昇させるためですので、あと少しお付き合い下さい(^^)
    明日からの記事はアメブロに更新していきます。
    どうぞ今後ともよろしくお願いします。
    コメント・メッセージは拍手ボタンからどうぞ
    | 夢妄想・シリーズ編 | 00:07 | - | trackbacks(0) | - | - |
    バナナフィッシュ版白雪姫6 〜英二姫、刺される〜
    0

       スノー王国を脱出した伊部は悪魔の森に入った。
       数日間さまよっていたが、真っ暗な森の中にぼんやりと光が
      見えたので恐る恐る近づいてみると、目の前に小さな家がみえた。


       小さな窓から楽しそうな笑い声が聞こえてきた。伊部は窓から
      そっと家の中をのぞいてみると小人が食事をしていた。

      (あれが噂の悪魔? 小人じゃないか……)


       そして驚くことに、小人と一緒に笑って食事をする英二姫の姿が
      見えた。スノー国のお姫様がまるで一般人のように、小人の為に
      ご飯をお代わりしたり、お茶をいれたり、かいがいしく働いている。


      「姫〜! お代わり〜」
      「はいはい。コングは良く食べるわね。」
      「お腹いっぱい! 眠くなってきた……姫、膝枕してよ」
      「ショーターったら……甘えん坊だね」
       英二姫はすっかり小人たちの生活になじんでいた。


        「英二姫様! 」
       伊部は驚きと喜びの混じった複雑な感情で、ドアの前に立った。
       そして小人の家の小さなドアを両手でドンドンと叩いた。


      「どちら様ですか?」
       英二姫が応対した。


      「私です、イベです! 英二姫様、よくぞご無事で……」
      「イベさん? どうしてここに……」
       姫は驚きを隠せなかった。


       伊部は英二姫に事情を説明した。


      「そうだったのですか……。イベさん。私のために……
       迷惑をかけてごめんなさい。ありがとうございます」


       小人達が伊部の元に群がった。


      「なぁおっさん、英二姫を連れ戻さないでくれよ!」
       小人シンが伊部をみあげて言った。


      「そうだおっさん!英二姫は皆のアイドルなんだ!
       いなくなると困るんだよ」
       小人ショーターがシンにつづいて言った。


      「おっさん!姫は絶対に渡さないからな」
      「おっさんがもし連れて帰ると言うなら、俺と勝負しろ」
      「そうよ、おっさん!英二姫は皆のものなのよ!分かった?」
       他の小人たちも一斉に姫をかばいだした。


       伊部は小人達が英二姫を大事に想っていることを実感しながらも
      落ち着く為に咳払いをした。


      「おっさん、おっさん……って!君たち酷いなぁ……
       大丈夫、俺は英二姫様の味方だよ。
       王妃に英二姫様が生きていると知られてしまったから
       僕も英二姫様もスノー国には戻れないよ」
       伊部がため息をついた。


      「おっさんも大変だな……まぁ当分の間、ゆっくりしていけよ」
       シンが疲れている伊部を気遣った。


      「ありがとう。君たちに御礼をしたいけど……何もないな。
       そうだ!君たちは姫様のことが大好きみたいだから、
       英二姫様の写真をあげよう! 僕は写真を撮るのが好きでね、
       英二姫様が小さい頃から国王様に頼まれて、プライベート写真を
       撮影してきたんだよ」


       英二姫のプロマイド写真を差し出すと、小人達は喜んで
      受け取った。それぞれ両手を伸ばして「俺にもくれ」と伊部に
      必死になってアピールしてきた。


      「はなせよッ! これは俺の写真だ!」
      「お前なんかにやるもんか! 」
       小人達の小競り合いと写真の奪い合いをみて、伊部と英二姫はぷっと
      ふきだした。


      「イベさん、どうして私の写真なんて持ち出したのですか?」
      「英二姫様がスノー国の白雪姫だと証明できるように
       持ってまいりました。まさか姫様が森にいるだなんて
       誰も信じないでしょう。」
       伊部が照れながら言った。


      「ところでイベさん、あの白馬は元気になりましたか? 」
      「元気です。あの白馬に乗って私はここまでたどり着きました」
      「私、白馬に会いたいな」
      「そうですね。小人たちはまだ小競り合いしてますし、
       じゃぁ少し白馬に触れてみましょうか」


       英二姫とイベは小人の家の近くに待たせてある白馬バディの
      元へ行った。


                 ***


       その頃ユーシス王妃は馬に乗って悪魔の森に入っていた。
       大きな紫色のマントをすっぽりかぶり、顔がほとんど見えない
      ようにして、旅人に変装した。


      「見ていなさい……英二姫、今度こそ終わりよ……」


       ディノ女王の鏡は世界で一番綺麗な女性とその居場所が見えるので
      ユーシス王妃は、英二姫が住む小人の家の場所を聞いていた。
       まっすぐ小人のいる家にむかった王妃は、小さな家の傍で白馬の世話を
      していた英二姫と伊部を発見した。


       そして2人から少し距離をあけて、王妃は自分の馬を木につないでおいた。


      「とうとう見つけた……」


       王妃はニヤリと笑った。マントを深くかぶり、よろよろと歩きながら、
      木の陰から 英二姫と伊部に近づいた。


      「すみません……私はこの森で迷ってしまいました。
       何日も何も食べていないのです……
       どうか助けて下さい……」
       王妃はかすれた声で助けてほしいと訴えた。
       

       王妃は英二姫の性格をよく知っていた。姫は心が優しく、困った人を
      放っておけないのだ。


      「大丈夫ですか?どうぞしっかりして下さい。イベさん、
       小人達を呼んで下さい。皆で運びましょう」
       旅人を心配した英二姫が王妃に近づいた。


      「分かった、待っていてくれ」
       伊部は小人の家に向かった。


      「安心して下さい。いまお水を持ってきますね……」


       英二姫が倒れた王妃を起こそうとしゃがんだ時、王妃は毒付きの針を
      英二姫に向けて思い切り突き刺した。


      「英二姫、あの世にいきなさい! 」


       毒針は英二姫の首にぶすりと突き刺さった。
      「あぁっ……! 」
       英二姫は絶望的な声を出し、みるみる顔は真っ青になり、そのまま倒れ込んだ。


      「アーハハハハッ……残念だね! もうすぐお前は死ぬよ! 」
       王妃は異常に興奮していた。マントを取り、倒れ込んだ英二姫の顔を
      見て勝ち誇ったように告げた。そして、伊部達が戻る前にその場
      を立ち去った。


       その頃、森の中を移動している王子と召使いのマックスは、遠くの方で
      小さな光を発見していた。
      「あれは何だ……? 」

      <続>

      お読みいただきありがとうございました。
      英二姫は、森の悪魔と呼ばれた小人の家で小人の世話をしながら楽しく
      暮らしていました。小人や伊部に守られる英二姫ですが、それだけ魅力が
      あるのでしょうね。バナナフィッシュ原作でも英二はアッシュやシン、
      ストリートキッズ達に守られていました。
      さて、次回は王子が小人に家にやってきます。そして毒針の刺さった英二姫
      はどうなるのでしょうか? 
      そろそろ「恋」も気になりますよね?お楽しみに……
      コメント・メッセージ・拍手は下の拍手ボタンからどうぞ

      【お知らせ】
      7月1日からアメブロに移行します(詳細は明日きちんとお伝えします)。
      このブログはいつでも見れるようにしますので、ご安心くださいね嬉しい
      | 夢妄想・シリーズ編 | 06:01 | - | trackbacks(0) | - | - |
      バナナフィッシュ版白雪姫5 〜悪魔との対面〜
      0

        リンクス国ではディノ女王が荒れていた。
        愛する後継ぎ息子のアッシュ王子が行方不明だからだ。

        「ジョージ、アッシュはどこへ行ったのだ!
         見はっておけと言ったはずだ! 」
        女王は鼻息荒く言った。

        「申し訳ございません。王子の行方は分かりません……
         ただ、マックスと一緒に乗馬訓練に出たようです……」
        ジョージは女王が怖くて顔を見る事ができなかった。

        「マックスはどこへ行った? 」
        「それがマックスも行方不明でして……」
        「一緒に逃げたのだな!あの二人はどこへ行ったのだ?
         まさか、悪魔の森を抜けるつもりか……? 」

         一方、森の中をさまようアッシュ王子とマックスは
        完全に道に迷ってしまった。しかも馬は一頭しかいない。

        (バディ、せめて森を抜けるか、無事でいてくれ……)

        「マックス、お前が見たのは悪魔だったか?」
         王子はマックスに確認した。
        「悪魔かどうか分かりませんが小さくて、人のような
         形をしてました。王子は悪魔を見ましたか? 」
         マックスは自信なさげに話した。
        「悪魔なら俺は毎日見てきたよ……ディノ女王という
         悪魔をな」
         王子はニヤリと笑った。女王の支配下で自由のない辛い生活を
        してきた王子のことを思うと、マックスは心が痛んだ。
         王子はリンクス城での生活より、悪魔の森にいる方が
        気は楽のようだ。

        「あと何日たてばこの森を抜けれるのだろう? 」
        「早くスノー国に入りたいですね」
        ため息まじりにマックスが言う。

        「マックス、お前はスノー国について何か知っているか?」
        「噂ですが……スノー国には最強のブランカ国王が統治
         されていると」
        「聞いたことがある、かなりの狩猟の腕前らしいな 」
        「えぇ、剣術や武術も素晴らしい腕前のようです」
         マックスは少し興奮気味に言った。

        「きっととんでもない筋肉男だろうな」
        「そうかもしれませんね。国王には一人娘がいまして、
         国民から「白雪姫」と呼ばれるほど色白で美しい
         姫様のようです」
        「白雪姫か……ぜひお目にかかりたいものだな」
         王子は少しほほ笑み、空を見上げて言った。

        「王子と白雪姫ならきっとお似合いですよ」
        「こんな森の中で会えたら奇跡だな」
         笑いながら二人は更に森の中を進んでいった。


            ***


         伊部に置き去りにされた英二姫は森の中をさまよっていた。
         光がほとんど入らない森は、姫の時間感覚を狂わせた。
         更に伊部から渡された食料も残りわずかになっていた。

        (どうしよう……困ったな……)
         不安でいっぱいになり、思わず涙ぐんでしまった。
         その時、小さな何かが動くのが見えた。
        「誰?」
         姫は脅えながら聞いた。

        「……お前こそ誰だ?」
         現れたのは小さな小人だ。英二姫の腰ぐらいの大きさなので
         はじめは子供かと思ったが、良く見ると少年だった。

        (あ、可愛い……)

        「私はスノー国の英二姫。白雪姫と呼ばれているわ」
         英二姫は恐れることなく笑顔で答えた。

        「俺はシン。この森の住民だ……この地の底に潜って
         鉱山や金を掘っているんだ。俺達のことを悪魔だと
         言う奴もいるようだが……」
        「悪魔なんかじゃないわ」
         英二は断言した。

        「お前、大丈夫か?随分疲れているようだが……
         俺らの家にくるか? 」
         小人シンは心配そうに言った。

        「えぇ!いいの? 」
        「あぁ、構わないぜ。」

         思わぬ提案だったが、疲れていた英二姫はシンについて
        いった。

         シンは小さくて可愛らしい家に英二を連れていった。
         家の中には、シンと同じ大きさの小人がたくさんいた。

        「シン、みんな一緒に暮らしているの?」
        「あぁ、そうだよ。お前ら紹介するぜ!こちらはスノー国の
         英二姫だ。」
         シンが英二を紹介した。

        「お姫様?本当かよ……」小人ボーンズがふりむいた。

        「人間?初めて見たよ 」小人コングが驚いた。

        「なんて可愛いんだ!」小人アレックスが叫んだ。

        「女の子!会えて嬉しいわ。」小人アキラが喜んだ。

        「たまげた!べっぴんさんだ!」小人ショーターが笑った。

        「お姫様がなぜ森にいるんだ?」小人ケインが冷静に質問した。

        「そ……それは……」
        英二姫は事情を説明した。

        「姫、それは大変だったな……」
        シンをはじめ小人たちは同情した。

        「なぁ姫、俺らと一緒に暮らさないか? 」
        ショーターが提案した。

        「そうだよな……俺達は昼間仕事に行くから、その間に俺達の
         食事や掃除をしてもらえないか? 」
        「もちろん! 」

        こうして英二姫は小人達と一緒に暮らしはじめた。

        英二姫はお世話になる代わりに、小人の為に料理を作って
        掃除をし、皆の世話をした。

          コング:「英二姫、おかわりちょうだい!」

           シン:「あ、俺も俺も!」

          アキラ:「もー食べ過ぎよ!」

        アレックス:「英二姫、スープも欲しいぜ!」

         ボーンズ:「俺、グリンピースは食べれないよ」

          ケイン:「ガキみたいな事言うなよ。」

        ショーター:「英二姫、服のボタンがとれたよ〜」

        (何だか7人の子供の母親になったみたい……)

         英二姫は微笑ましく7人の小人を見つめた。


               ***

         ユーシス王妃は、英二姫が死んだと思いこんでいた。
         上機嫌でワインを飲んでいたら、ふと魔法の鏡が目にうつった。  久しぶりに魔法の鏡に向かって質問してみようと思い手に取った。
        「鏡よ鏡、この世で最も美しい女性は誰? 」
         
         リンクス国のディノ女王が鏡に写り、女王は答えた。
        「それは白雪姫です」
        「え……そんなバカな……」
         当然、ユーシス王妃だと言われると思っていた王妃は驚いた。英二姫は
        死んだはずなのに。

        (もしかして、イベが逃がしたのか?)

        「召使いに頼んだのに!どうすれば私が一番に
         なれるの? 言ってちょうだい! 」
        王妃は食い下がった。

        「人は裏切るものです。あなたが直接手を下すのが
         よいのでは……? 」
         ディノ女王は低い声で静かに助言をした。

         王妃は怒りに震えていた。近くにいた女中のマーディアに
        命令した。
        「今すぐイベを呼んで来い!」
        「はい、ただいま。」

         マーディアはごく普通に接したが、王妃の様子がおかしい事に気づいた。
         嫌な予感がしたので 伊部の元に行き、彼にこっそりと助言した。

        「イベ、あなた何をしたの?王妃が怒っているわ。
         私の勘だけど、あなた、ただじゃすまないわよ」
        「そうか……とうとう気づいたか」
         伊部はしまったと言って、俯いてしまった。

         マーディアが伊部の目をじっと見た。
        「私が王妃をごまかすから、今すぐ逃げなさい」
        「そうするよ。しばらく森の中に隠れてるよ。
         マーディア、ありがとう」

         伊部はすばやく荷造りをして、
        馬小屋の白馬バディを連れて森の中へ逃げた。

         しばらくして、マーディアが王妃の部屋へむかった。

        「ユーシス王妃、イベは逃亡してしまいました。
         私がイベの元に行った時にはすでに荷物もなく、
         もぬけのからでした」
         マーディアは淡々と言って、王妃に嘘をついた。

        「イベの奴め……!」
         冷静なマーディアの嘘に騙された王妃は、怒って拳をふりあげた。

        「マントを一着用意しなさい。それと馬を。
         今から外出します」
         王妃は恐ろしい決意をしていた。

        (……私が直接、英二姫に手をくだしてやる! )


        <続>

        悪魔の森の『悪魔』の正体は小人たちでした。原作グリム童話の
        小人はおじさんで、あまり可愛いとは言えないのですが……こちらの
        小人たちは若いストリートキッズ中心に集めました(ひとりだけ女の子
        (暁)がいますが)。きっと可愛いでしょうね。
        小人のケインはあまり想像できませんか?(笑)
        今後、王妃ユーシスがどう出てくるか気になりますね。
        どうぞ次回をお楽しみに……

        【お知らせ】
        7月1日よりブログを現在のジュゲムから、アメブロに移行しようと思います。
        詳細は後日お知らせしますね。今後ともよろしくお願いします。
        続きを読む >>
        | 夢妄想・シリーズ編 | 22:04 | - | trackbacks(0) | - | - |
        バナナフィッシュ版白雪姫4 〜姫の逃亡、悪魔の森へ〜
        0
          「お呼びでしょうか、ユーシス王妃様」
           召使いで猟師の伊部は王妃の部屋に呼ばれた。

          「イベ、お前に用件がある」
           いつも綺麗で優美な王妃だが、今日は表情が硬い。目は
          つりあがっていて異様な冷たさを感じた。

          「どのようなことでしょうか? 」
           恐る恐る伊部は聞いた。
          「英二姫を森に連れて行きなさい」
           王妃は強い口調で言った。
          「森へ……ですか? 」
           伊部は嫌な予感がした。

          「そうだ。英二姫を殺して肝臓をとってきなさい」
          「えぇ!白雪姫を…… 王妃様、私は英二姫様が小さな頃
           からこの城で仕えてきました。その姫様を……? 」
           伊部はとまどいを隠せなかった。

          「だからどうしたって言うの? 」
           王妃は目を細めて冷たく返した。

          「姫様は私に懐いてくれました。私も嬉しくて姫様のお写真
           などを撮らせていただきました。その……まるで我が娘の
           ような存在です…… 王妃様、お考えなおしください! 」
           伊部は必死になって王妃に訴えた。

          「二度と見たくないのだ。英二姫を殺せ!さもなければ
           ……お前を殺す! 」
           王妃は言いきった。これ以上何を言っても耳をかさないの
          は明らかだった。

          「は……はい……! 」
           伊部は慌てて部屋を飛び出した。

           
              ***


           ブランカ国王から外出許可をもらった英二姫が意気揚々と
          庭園にやってきた。

          「イベさん!おはようございます」
           姫はご機嫌で、ニコニコと笑っている。


          「あ……英二姫様……おはようございます 」
           伊部は複雑な心境だった。姫の顔を真正面から見る事ができな
          かった。

          「今日は乗馬を教えてくれるんですよね。
           よろしくお願いします」
          「は……はい。では悪魔の森の手前にある草原に行きましょう。
           馬小屋があるので、そこで乗馬をしましょう」
          「楽しみだわ」
           英二姫は笑って馬車に乗った。

           スノー国と森の境界にある草原に二人は着いた。青緑色の緑が
          美しい平地が目の前に広がり、奥には鬱蒼とした怪しげな木々の
          固まりがあった。

          「英二姫様、馬小屋で乗馬の準備をしてまいります」
           この後、英二姫を殺さねばならない伊部の表情は曇った。

           伊部の異変に、英二姫が気づいた。

          「イベさん、どうしたのですか? 元気がないですよ」
          「英二姫様……いえ、何でもありません」
           伊部の手は小刻みに震えていた。

          「そうですか。本当に困った時は言ってくださいね。
           イベさんは私にとって叔父のような存在ですから……」
           英二姫は伊部の手を握りしめて言った。

          「姫様……」
           伊部は俯いた。一筋の涙が頬を伝った。
           この優しい姫をどうして殺すことなどできようか。

           その時、一頭の白馬が森の中から飛び出してきた。
          「白馬? 森の中からどうして……? 」
          「英二姫様、興奮しているから危険です! 近づいては
           いけません」

           英二姫には白馬が何かに脅えている気がした。
           驚かさないようにゆっくりと近づいていった。

           白馬は英二姫の眼差しに何かを感じて、落ち着きを
          取り戻した。
          「よしよし……お前は可愛い馬だね。」
           英二姫は白馬を優しくなでた。

           伊部が白馬に近づいて言った。
          「英二姫様、見たところ野生の馬ではないですね。
           立派な馬装具を身につけています。かなり身分の高い
           人の馬だと思うのですが……」

          「身分の高い人? 隣のリンクス国の馬が逃げて来たの
           かしら? 」
           姫は首をかしげた。

          「何とも言えませんね。ひょっとして悪魔の化身かも
           しれません。それならば危険なので処分しないと! 」

          「それは止めて下さい!この子は綺麗な目をしているわ。
           それに私達に危害を加えていません! 軽いケガを
           しているようだし、どうか保護してあげて」

           英二姫は必死にお願いした。上目づかいで懇願する姫を見て、
          伊部は優しい英二姫のお願いを受け入れた。

          「……分かりました。草原の馬小屋で預かりましょう」
          「良かったね。イベさんにまかせておいたら大丈夫だよ」

           伊部は白馬のケガの手当てをし、馬小屋に保護した。

          (森の中か……あの森の中なら誰も追ってこない……)

           伊部はある決意をしていた。そして馬小屋から銃と袋を取り出し
          ごそごそと何かを詰めだした。

          「英二姫様、お待たせしました。では乗馬の練習をしましょう。
           まずは私の後ろに乗ってください」
          「えぇ、楽しみ!」
           2人は馬に乗ってすすみ始めた。

          「英二姫様、以前から森に興味がありましたよね?
           少しだけ森の中を探検していみませんか? 」
           伊部は姫が以前から森に興味を持っていたことを知っていた。
           わざと姫が喜びそうなことを提案した。

          「いいの?皆は怖い噂を信じてるようだけど、悪魔かどうか
           会ってみないと分からないわ……。本当は素敵な王子様
           かもしれないわよ」
           姫はクスクスと笑った。

          「王子様ですか。英二姫様もお年頃ですから恋愛に憧れることも
           あるでしょう」
          「運命の出会いがあればいいですね」
          「英二姫様はお美しいですし、お優しいからきっと誰からも
           愛されますよ」
           伊部は笑って言った。本当にそうだと思った。

          「ありがとう。イベさん……随分森の中に入ってきましたね。
           歩いて戻るのは大変かも。そろそろ戻りますか? 」
          「では一度休憩しましょう。英二姫様、おりましょう 」

           伊部は英二姫を降ろした。そして跪き、真剣な目で英二姫を
          見つめた。

          「英二姫様、今から言う事をよく聞いて下さい。
           酷な事を言いますが、スノー国に戻ってはいけません。
           この森の奥へ行って下さい」
          「どういうこと――? 」
           姫は突然の話についていけなかった。

          「――私は王妃からあなた様を殺害するように命令されました」
           このとき、伊部は顔を上げることはできなかった。

          「え!どうして……そんな!お母様が……」
          「私にはあなた様を殺すことなどできません。私はあなた様を
           小さな時から見守ってきました――我が子と同じです」
          「イベさん――」
           沈痛な表情を浮かべる伊部の顔を見て、姫は胸が熱くなった。

          「私が何とか王妃を誤魔化します。どうか森の奥で暮らして下さい。
           この袋に数日分の食料が入っています」
          「イベさん……」
          「どうか、いつまでもお元気で! 」

           伊部は馬に飛び乗り、英二姫を森の中に置き去りにした。そして
          途中でイノシシを狩り、その肝臓を取り出してスノー国へ持ち帰った。

          「ユーシス王妃様、こちらが英二姫の肝臓です」
           伊部は王妃にイノシシの肝臓を差し出した。

          「フフフ……よくやったわ、イベ」
           ユーシス王妃は立ちあがって喜んだ。
           上機嫌で女中を呼んだ。

          「ジェシカ、これを塩ゆでにして、サラダにしてちょうだい」
          「は……はい」

           ジェシカはこれが何か分からないまま調理をした。
          (何かしら?これは……)

           ジェシカはサラダの毒味をしてみた。触感はモサモサして非常に
          気味が悪く、特に美味しいものではなかった。

          「王妃様、出来上がりました」
           王妃は肝臓サラダを美味しそうにぺロリと食べた。

          「……美味しいわ。これはね、とても美容に良いものなの。
           明日から肌の調子がよくなるわね! ウフフフ…… 」

           王妃はこの上なく幸せだった。
          (鏡に質問するのが楽しみだわ……)

          <続>
          -------------------------------------------------------------------------------- 【あとがき】
          らぶばなです!おはようございます!
          今回は伊部さんの英二姫への愛情を感じていただけたらと思います。
          原作のバナナフィッシュでも、伊部さんは英二を弟のように(子供?)
          可愛がっていましたよね。
          そして英二姫もアッシュ王子も恋への憧れを持っていることが分かり
          ました。そんな二人が悪魔の森に入りました。二人はいつどこで出会う
          のでしょうか?楽しみですね。
          そして英二姫の肝臓(と勘違いして)を食べるユーシス王妃……
          怖すぎです。知らなかったとはいえ、イノシシの肝臓を食べるはめに
          なったジェシカ……可愛そうです。
          今回もお読みいただき、ありがとうございました!
          メッセージ・コメント・リクエストは下にある拍手ボタンからどうぞ。

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          | 夢妄想・シリーズ編 | 07:59 | - | trackbacks(0) | - | - |
          バナナフィッシュ版白雪姫3 〜王子、悪魔の森へ〜
          0
             リンクス国のディノ女王は 月に一度、必ず城を出る。
             国のはずれに住む魔女から新しい財宝を買うのだ。

             今日はその日だ。女王から逃げるため、アッシュ王子は 国を脱出する事を決意していた。

            (悪魔の森を抜けてスノー国へ逃亡してやる! )

             アッシュは召使いのマックスに命じた。
            「マックス、乗馬訓練をするから馬の準備をしてくれ」
            「……ええ、分かりました。バディにしましょう」
             突然の命令に驚きながらもマックスは答えた。

            「そうだな。あいつは賢い白馬だ」
            「ではすぐご用意いたします。」
             マックスは馬小屋へむかった。


                   ***   


             ディノ女王は部屋に召使いのジョージを呼んだ。
            「ジョージ、いるのか?」
            「はい!ディノ女王。御用でしょうか?」
             ジョージは跪いた。

            「私は今から魔女の元へ行く。財宝の管理をよくして
             おくように。」
            「かしこまりました。今回はどのような財宝をご購入
             されるのでしょうか?リストに記入しておきます」
            「今回は【解毒剤】だ。どんな魔法の毒でも解毒できる
             財宝だよ。いつ、どこで誰が私を狙っているか
             分からないからね……」
             女王はニヤリと笑った。

            「それと……」
             女王の表情が氷のように冷たく変わった。
             ジョージは女王が何を言い出すのか怖くなり、背中
            がゾクリとした。

            「王子をよく見はっておくように」
            「女王様、見張るとは……?」
             ジョージはわが子を見はれという女王の気持ちが理解
            できなかった。

            「最近の王子は情緒不安定なのよ。妙な行動をしないか
             よく見ておきない。怪しい行動をとれば止めなさい 」
            「ははッ! 」
             ジョージは、『女王の財宝を守れ』という意味に取り違えて
            しまったが、女王の命令に従うことにした。

             そしてその日の午後、ディノ女王は多くの側近を連れて外出して
            いった。


                   *** 
              

             アッシュ王子はディノ女王が外出したのを確認してから
            荷物を素早くまとめ、馬小屋にやってきた。

             白馬のバディの馬装具を装着していたマックスが王子を
            見て声をかけた。
            「アッシュ王子、馬の準備ができました。」
            「バディ!よろしくな。」
             王子はバディの整った白い毛なみをなでた。

            「あの、王子……私もお伴してよろしいですか? 」
             マックスがおずおずと聞いた。

            「えッ、どうしてだ? 訓練はいつも俺一人でしている
             だろう? 」
             王子は少し驚いた様子で答えた。

            「今日の王子はいつもと違って荷物がおありのようですし
             女王が外出している今、おひとりで外出させるのは心配
             ですし……」
            「俺は子供じゃないぞ。」
             眉をつりあげた王子は不満そうだった。

            「分かっています。17歳とは言え、王子は何でもこなせる
             立派な方です。ですが王子、貴方の兄のグリフィンと私が
             親友だったのはご存じでしょう?……やはり心配です 」

             マックスの気持ちはありがたかったが、王子の脱出計画が
            バレると困る。ここで無理やり一人で外出すると、勘のいい
            この召使いに疑われると思った。

            (さすがに森に入るのは嫌がるだろう)

            「分かった……。荷物係なら構わないぞ。」
             王子はしぶしぶ了承した。


                   ***   


             王子とマックスは森の境界にある草原にやってきた。
             だが王子はどんどん森に近づいて行く。

            「王子、森に近づきすぎではありませんか?」
             マックスは不安になった。

            「なんだマックス、怖いのか?」
            「はい、正直言って怖いです。この森には悪魔が住むと言わ
             れておりますから」
             マックスの顔は青くなっていた。

             アッシュは真面目な顔で言った。
            「いいか、マックス……お前には言っておく。
             俺はリンクス国を捨てる」
            「何ですと!王子!」
             マックスは思わず大声を出した。

            「俺は自由になりたいんだ。女王の操り人形じゃねぇ」
            「お気持ちは分かりますが、どうやって……」
            「この森を抜けてスノー国へ行く。スノー国までいけば、
             女王も追いかけてはこないだろう
             王子は自信満々で言った。

            「ですが……この森には悪魔がいるようです」
            「それでも俺は行く。怖いのならお前は来なくていい。」

             アッシュは白馬のバディと森に入った。マックスは一瞬
            ためらったが、森の中へ入っていった。

             森の中は薄暗く、木々は密着していたので光がほとんど
            入ってこない。しかも奇妙な動物の音が響いていた。

            (悪魔はいつ出てくるのだ? )

             アッシュは恐れることなく進んで行く。マックスは遅れ
            ないように必死についていった。

             マックスは怖さを紛らわせたくて――ふだんなら絶対に
            しないことだが――王子に必要以上に話しかけた。

            「アッシュ王子、好きな人はいないのですか?」
            「何だよ、突然」
             王子が驚いてマックスを見た。
            「アッシュ王子のその美しさと若さなら、当然好きな人
             がいてもおかしくないでしょう? 」
            「今はいない……」
             少し遠い目をして王子は答えた。

             プライベートな話を王子が嫌がるのは知っていたので、叱られると
            思っていたたマックスだったが、王子が素直に答えたので驚いた。マックスは
            つい調子にのって聞き返した。

            「今は……ということは、以前はいらしたのですか? 」
             王子は俯いた。
            「14歳の時、好きな人がいた……だがディノ女王に
             殺された……証拠は何もない」

            マックスは思わず王子を見た。
            アッシュは続けて言った。
            「あの時から女王の後継ぎにはならないと決めた。」
            「そうでしたか……」

            王子の暗い過去を聞いてマックスは落ち込んだ。その表情を見て、
            王子が慰めるように言った。
            「でも俺は『恋をしない』とは言っていないぞ。
             運命的な出会いがあれば、恋をするかもしれない」

             マックスの目に希望が戻った。
            「きっとそんな出会いがありますよ。私はそう願います」
             マックスは心からそう願った。

             森に入って半日、アッシュが乗っていた白馬バディの
            動きが突然止まった。

             その時小さな何かが動くのをアッシュとマックスは見た。ほんの
            一瞬だったが人のような形をしていた。

            「あれは……? 人間? 」
            「もしや……悪魔ですか? 」

             アッシュはバディから降りて確認しようとした。すると急に
            バディが何かを追いかけて走りだした。

            「バディ! 戻れー! 」
            「戻ってこい! 」
             アッシュとマックスが叫ぶものの、バディはそのまま森の奥深くへ 消えてしまった。

            「あの賢い白馬が主人を置いて消えるだなんて……考えられません」
            「バディは何を追いかけていったのだろう? 」

             アッシュとマックスは不思議でならなかった――『悪魔』の正体は
            何なのか――この時は知るよしもなかった。


              <完>

            らぶばなです。蒸し暑い日が続きますね。皆さまどうぞ熱中症には
            ご注意くださいね。
            さて、今日は白雪姫の第3話をおおくりしました。
            アッシュ王子は召使いのマックスと共に悪魔の森へ入りました。
            アッシュの父親的存在(!?)のマックスなら、きっとアッシュと行動を
            共にするでしょう。
            白馬のバディは、英二が飼っている犬の名前からつけました。
            (バナナファンの方ならすぐにお分かりだと思いますが)
            王子とマックスはどうなるのでしょうか?白馬バディ、無事に戻って
            きてほしいですね……
            それでは次回をお楽しみにしてください♪
            お読みいただき、ありがとうございました。

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            バナナフィッシュ版白雪姫2 〜女王と王子の愛憎劇〜
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               スノー王国の隣国、リンクス王国はディノ女王が統治して
              いた。女王は莫大な財宝を持つお金持ちだが、独身だった。


               後継ぎがいなかったので、国民の中から最も美しい子供を
              買って養子にした。その子供には多くの家庭教師をつけ、
              一流の教育をうけさせた。


               子供にはアッシュと名前をつけ、王子は成長と共に強く
              美しい理想的な王子様に育った。


                     ***   


               アッシュ王子の部屋に入った召使いのマックスは、
              アンティーク家具に隠れながら王子に声をかけた。


              「アッシュ王子、朝ですよ。起きて下さい」
              「……」
              「アッシュ王子――」


               その時、王子のサイドテーブルにあった置時計がマックスに
              向けて飛んできた。それは家具に激突してこわれてしまった。
               マックスは家具に隠れていて正解であった。
              「危ないところだった……」
               マックスは胸に手をあててため息をついた。


               上半身裸で寝ていた王子はマックスの声を無視し、
              シーツかぶって寝てしまった。


              「しかし王子……ディノ女王がお待ちです……」
              「……嫌だ」


               王子は拒否した。王子が朝に弱いことは前から知っていたが、
              ただの低血圧や反抗期だとは思えない。
               ここ最近、王子は女王と一緒にいることをひどく嫌った。


               マックスはため息をついた。王子を起こすのは諦めて、
              ディノ女王の部屋へ向かった。


               マックスは女王の部屋のドアをノックする。
              「失礼します」
              「お入りなさい」

               女王は革張りのソファに腰掛け、ペットの猫をなでていた。


              「ディノ女王様……アッシュ王子を起こしましたが
               拒否されてしまいました」
              「最近の王子は反抗的ね……本当に困った子……
               お仕置きが必要かしら? 」


               ディノ女王の目が一瞬ギラリと光ったのをマックスは
              見逃さなかった。


              「今日の王子は体調がすぐれないようでした。」
               マックスがフォローした。


              「そうなの? じゃ、仕方ないわね……
               今日のところは許してあげる…… 」
               女王はクスッと笑った。

              「ではディノ女王様にハーブティーをお持ちします」
               そそくさとマックスは部屋を出た。


               部屋を出たマックスはキッチンにかけこんだ。タバコを吸い
              ながらため息をついた。

              「はぁー、怖かった……」

              「マックス、どうした? 」
               マックスと同じ召使いのジョージが声をかけた。

              「ディノ女王だよ。怖いのなんの。ぞっとしたよ。
               王子に対して妙な気持を持ってるんじゃねぇか? 」
              「……まぁ本当の親子じゃないしな。王子のあの美貌を
               間近で見ていたら、どうにかなっちまいそなのも
               分かるかもな……」
              「なーに言ってんだ。こっちはフォローするのが大変だぞ」
               怒ったようにマックスは言った。


              「そのわりにお前、王子の面倒をちゃんとみているじゃ
               ないか」
              「当たり前だ。王子の兄と俺は親友だったからな」
              「王子の兄が死んでもう1年たつのか」
              「女王が殺したという噂もある……」
               マックスはため息をつきながらつぶやいた。


              「どうして女王が王子の兄を殺す必要がある? 」
              「王子が兄に会いたくて城を出ようとしたからさ。
               女王は王子に逃げられては困るんだよ 」
               マックスとジョージはアッシュ王子に同情した。


                     ***   



               召使いのマックスが王子の部屋を出た後、王子はすぐに
              起きあがった。


               この城に連れてこられてから アッシュ王子の自由はない。
               ディノ女王が組み立てたスケジュールで一日が決まるのだ。


               王子はうんざりしていた。一日でも早く自由になりたかった。
               一年前に兄のグリフィンが謎の死を遂げた前後から
              ディノ女王はひどくアッシュに干渉するようになった。


               着替え中にわざと部屋に入ってきたり、髪や肩に触れてきたり
              時々妙な視線すら感じるようになってきた。
               王子は身の危険を感じていた。


              「普通の暮らしがしたい……子供の頃、死んでしまった兄さん
               と一緒にいた時のように…… 」


               王子は自分の兄の死を女王が仕組んだ事だと確信していた。
               そしてある事を計画していた。
               (後継ぎなんて絶対になるものか! )

               窓から空を見上げて言った。
              「国を出て、俺は自由になる! 」

               

                     ***   


               ディノ女王は多くの財宝を持っていたが、その中でも
              「魔法の鏡」は特別なものだった。


               この鏡は隣国、スノー王国のユーシス王妃も持っていた。
              鏡を通してお互いに話をすることができた。


               ユーシス王妃の鏡と異なる点は、ディノ女王の鏡は世界で
              最も美しい男女の姿がうつしだされるところだ。


               毎日、鏡を通じて 王妃が質問してきた。
              「鏡よ鏡、この世で最も美しい女性は誰? 」


               ディノ女王の鏡には王妃の姿が鏡に写った。女王は答えた。
              「ユーシス王妃、あなたです 」

               しかしある日、鏡には白雪姫の姿が写っていた。
              ディノ女王はユーシス王妃の質問に答えた。
              「ユーシス王妃、世界で最も美しい女性は白雪姫です 」


               王妃はどうすれば自分が一番になるのかを聞いてきた。
               冷酷な女王は、英二姫がこの世から消えればユーシス王妃が
              一番になると答えた。ユーシス王妃も納得した様子だった。


               ディノ女王は、この世で一番美しい女性が誰かなんて
              どうでもよかった。自分が一番でありたいとも思わなかった。


               そんな事よりも――鏡にうつる【この世で一番美しい男性】
              をうっとりと見つめた。


              「――美しい。最高傑作だ」


               その男性は、後継ぎのアッシュ王子だった。
              あろうことか、ディノ女王は血のつながらない我が子を
              愛してしまったのだ。


               女王は鏡にうつったアッシュ王子の姿を指でなでた。
              それだけでは飽き足らず、鏡を舌で舐めた。

              「アッシュ……」

              (私は、お前さえ手に入ればよい――)

               女王はつぶやいた。
              「お前を離さないぞ――永遠に! 」


              <続>


              らぶばなです。
              白雪姫第2話をおおくりしました。今回は王子様、アッシュの
              お話です。ディノ女王は月龍以上に手ごわい気がします(笑)
              鏡を舐めるのは……少し怖いかもしれませんね。

              お読みいただき、ありがとうございました。
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              | 夢妄想・シリーズ編 | 07:04 | - | trackbacks(0) | - | - |
              バナナフィッシュ版 白雪姫1 〜王妃の怒りを買った姫〜 
              0

                 むかしむかし、【悪魔の森】と呼ばれる大きな森があった。

                 人間が森に入ると悪魔に食べられるという噂がいつの間にか
                広まり、噂を信じた人々は決して森に近づかなかった。

                 そしてこの森の両端に人間が住み始め、スノー国とリンクス
                国の二国ができた。


                 スノー国とリンクス国は悪魔の森がある為に、お互いにどん
                な国なのか知らなかった。


                 スノー国には国王と王妃がいた。王妃は子供を産んだ。
                 その子供は 英二姫と名づけられた。

                 雪のように白い肌、真っ赤な唇、黒い艶のある髪を持つ
                英二姫は国民の間で『白雪姫』と呼ぶものもいた。


                 英二姫の誕生を国民は喜んだが、英二姫の母親は姫が産まれ
                てまもなく病気で亡くなった。

                 そして英二姫はすくすくと成長していった。


                        ***   

                             
                「英二姫様……起きて下さい。もう朝ですよ」
                 女中のマーディアがカーテンを開けた。窓から差し込む光が
                すやすやと幼子の様に眠っていた英二姫の顔にあたった。


                 眩しそうに瞼を指先でこすりながら、英二姫はゆっくりと
                つぶやいた。
                「うーん、あと……5分……」


                 再び心地よい眠りにつこうとする、その幸せそうな寝顔
                を見たマーディアは思わずクスクスと笑ってしまった。

                「英二姫様、先ほども同じ事をおっしゃいましたわ」
                「……え? そう? 」

                 寝ぼけていた姫がようやく目をさました。

                「おはよう……起こしてくれてありがとう」
                 そしてにっこり笑う。


                「いいえ。国王と王妃がダイニングでお待ちですよ」
                 マーディアは姫に着替えを手渡した。

                「あ……今すぐ支度するね! 」
                 姫はベッドから起き上がり、慌てて服を着替えだした。


                       ***   


                 王族専用ダイニングでは国王と王妃がすでに着席していた。
                遅れて入ってきた英二姫を見て国王が声をかけた。


                「英二姫、おはよう」
                 父親のブランカ国王が優しく微笑んだ。


                 国王は長身で筋肉質、黒髪で長髪の凛々しい顔で、女性
                から大変人気があった。
                 見た目だけの男ではなく、国王は狩猟・剣術・武道も
                完ぺきで、国内で彼にかなうものはいなかった。


                「英二姫、おはよう。私、待ちくたびれたわ。
                 もう少し早く起きなさいね」
                 継母のユーシス王妃がチラッと姫を見て言った。


                 白雪姫の継母のユーシス王妃は、とても綺麗で知識が豊富
                で不思議な力を持つ女性だった。ブランカ国王はユーシス
                の美しさに一目ぼれして結婚を申し込んだのだ。


                 ユーシス王妃は優しそうな顔をしているが、怖い一面を
                見せるところがあった。気位が高くて高慢ちきな上、
                自分より美しい女が我慢ならない性格であった。


                「お父様、お母様、おはようございます。
                 お待たせしてすみません」
                 姫は素直に謝った。


                「いいんだよ。英二姫が慌ててくると思ったから、私は
                 楽しみにしていたぐらいだよ。さ、座りなさい」
                 娘に甘い国王は笑って言った。


                「ちょっと、ジェシカ! 3人揃ったから早くコーヒーを
                 入れてちょうだい! 気が利かないわね! 」
                 それを見たユーシスは苛立って、女中のジェシカに強い
                口調で命令した。


                「は……はい! ただいま! 」
                 ジェシカは慌てて部屋を飛び出した。

                 

                      ***   


                 調理場ではジェシカとマーディアが朝食の用意をしていた。

                「ねぇマーディア、ユーシス王妃ってムカつかない?
                 英二姫はあんなに素直で可愛いのにさぁ! 」

                「ジェシカ、落ち着いて。あの人は朝に弱いのよ。
                 それに英二姫と王妃は血のつながりはないじゃない」

                 

                 皿にサラダを盛り付けながらジェシカは言った。
                「国王様が悪いのよ。見た目だけであんな女を選ぶ
                 なんて。英二姫が可哀そうだわ! ここ最近、王妃は
                 姫に対して冷たいのよ。気づいてた? 」


                「……何となくね。英二姫は言葉に出さないけどきっと
                 気づいているわ……どうしてなのかしら? 」

                「マーディア、決まってるじゃない! 英二姫がどんどん
                 可愛くなってきてるからよ。国王や男どもの関心が
                 自分以外に向けられるのが腹立たしいのよ! 」
                 ジェシカは眉間に皺よせた。


                 コーヒーの芳醇な香りが漂ってきた。
                「でもさ、あんなヒステリックに怒らなくてもよくない?
                 あの人のコーヒーにインクでも入れてやろうかしら? 」
                 カップにコーヒーを注ぎながら、ジェシカは嫌味っぽく言った。


                「でも王妃の毒見係はジェシカ、あなたよ……」
                「もぉ! 悔しい! 」
                 ジェシカは拳をにぎりしめた。


                       ***   


                 食後、英二姫は国王の部屋でくつろいでいた。

                「ブランカお父様、悪魔の森には魔物が住んでいるの? 」
                「英二姫、森には入っちゃだめだよ。あそこは怖い場所
                 だからね」
                 国王は心配そうに姫を見た。


                「私、子供じゃないわ。19歳だし、もう大人よ」
                「そうだね、でもお前はおてんばだから心配なんだ」
                 国王がなだめるように言った。


                「お父様やお母様を心配させたいわけじゃないわ」
                「私もお前と同じ年ごろは、下界を冒険したり恋をしたり
                 いろいろなものに興味を持ったよ」
                「お父様は今も恋をしているわ、お母様にね」
                 いたずらっぽく笑って姫は言った。


                「ふふふ……言うね。お前には好きな人はいないのか? 」
                「え?好きな人?今はいないわ。お父様のように強くて
                 賢くてハンサムな人が現れたら恋をするかもしれないわ」

                 恋をしたことのない姫は顔を赤らめた。


                「私は嫉妬するかもしれないな。お前の恋を認めるかは
                 分からないが、冒険は認めてあげよう」

                 仕方ない、といった表情で国王は言った。


                 姫は驚いて国王を見た。
                「森に行ってもいいの? 」


                「森は駄目だ。だが森の手前にある草原ならいいだろう。
                 獣が出るかもしれないから、猟師の伊部と一緒に行きなさい。
                 あそこには馬小屋があるから乗馬でもしてきなさい」

                「ありがとう、お父さま! 」
                 姫は国王に飛び付いた。


                       ***   


                 パウダールームにいた王妃は魔法の鏡に問いかけていた。
                「鏡よ 鏡、この世で最も美しい女性は誰? 」


                 この鏡には不思議な力があった。王妃が鏡に問いかけると
                隣国の女王ディノの姿が鏡にうつるのだ。

                「それはユーシス王妃、あなたですよ」
                 ディノ女王が答えた。


                「まぁ、嬉しいわ! ディノ女王、ありがとうございます」
                 王妃は答えを聞いて安心した。ディノ女王は本当の事しか言わないのだ。
                 毎日のように王妃は鏡を通じてディノ女王に問いかけていた。


                「鏡よ 鏡、この世で最も美しい女性は誰? 」
                 この日もユーシス王妃は鏡に向かって問いかけた。すると思いがけない

                答えが返ってきた。


                「それは白雪姫です。」
                 鏡に写ったディノ女王が答えた。


                 王妃は眉をつりあげて確認した。
                「ど……どういう事? 今まで私が一番綺麗だと言ってくれ
                 ていたじゃないの! 」
                 体を震わせ、激しく狼狽した。


                「確かに今まではそうでした。しかし成長した白雪姫が現在、
                 この世で最も美しい女性です。私の言う事は絶対です」


                 ディノ女王のあまりの答えにユーシスは怒った。目の前にあったグラスを

                床にたたきつけ、ガラスの破片があちこちに散乱した。だが、跳ね返った

                ガラスの破片が王妃の顔をかすめた。


                 王妃は慌てて鏡を見ると、自慢の肌にうっすらと血がにじんでいた――


                「キャァァァ――! 私の顔、顔に血が――! 」
                王妃は顔に手をあて、大声で叫んだ。


                 女中のマーディアがその声を聞きつけ部屋に飛び込んだ。
                部屋はガラスの破片とメイク道具が無残に散らばっていた。


                「ユーシス王妃さま! まぁ大変! いますぐ医者を呼んでまいります!」
                 マーディアは部屋を飛び出した。


                 呼吸がうまくできず、王妃はハァハァと大きく息をはいた。
                妬ましさのあまり、いても立ってもいられなかった――


                「……どうすれば、また私が一番になれるの?」
                 王妃は鏡にうつるディノ女王を睨み付けて言った。


                「それは白雪姫がこの世から消えればあなたが一番になるでしょう……」
                 ディノ女王は淡々と――それが当然とでも言う様に王妃に告げた。


                「そうね……英二姫め! もう姫の顔など見たくない!
                 私をこんな目にあわせたんだ……覚悟してもらうよ」


                 ユーシス王妃は微笑んだがその目は笑っていなかった。それを見ていた

                ディノ女王もニヤリと笑った。


                「英二姫、死んでもらうよ! 」



                <続>




                ブログ管理人のらぶばなです。

                グリム童話の「白雪姫」をバナナフィッシュのキャラクターで新たに創作
                いたしました。
                白雪姫の創作は、バナナフィッシュ創作サイト様たちの
                ご協力がありました。

                もともとは、いきあたりばったり の臼井ころも様のリクエスト企画です。
                BANANAFISH memories yukino様が【白雪姫をイメージした
                アッシュと英二のイラスト】を臼井ころも様にリクエスト
                されました。

                その素晴らしい絵に私が触発され、ころも様とyukino様よりご了承
                いただいた上で、今回のお話を作らせていただきました。

                まずは、ころも様の白雪姫のイラストをぜひご覧ください。

                ・アッシュと英二
                http://usui554.blog85.fc2.com/blog-entry-260.html#more
                ・ゴルツィネと月龍
                http://usui554.blog85.fc2.com/blog-entry-262.html
                また、yukino様もベイビーズ達の可愛い白雪姫のお話を作られています。
                http://blogs.yahoo.co.jp/campana1991/27348532.html

                快く了承していただいたお二人に感謝すると共に、皆さまに楽しくお読み
                いただける事を願います。
                どうぞ次回をお楽しみくださいませ。

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                | 夢妄想・シリーズ編 | 07:00 | - | trackbacks(0) | - | - |
                もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・6
                0

                  らぶばなです。 
                  今日は タイタニック最終回です(長かったです)……何度修正したか。
                  ブログ開設1ヶ月半が経ったものの、まだ納得できる創作小説が
                  書けなかったからです。小説とは無縁の生活をしていましたので、
                  基本が分かっていませんでした。

                  他のバナナフィッシュのファンサイト様の素晴らしい小説を読む度に
                  私の話しは淡々としているな……と感じ、数日前に「小説の書き方」を
                  調べることにしました。

                  調べて気付いたのですが、私の書く文章には基本(記号の使い方など)
                  が間違っていた上に、「描写」がほとんどなく、説明と会話文だけでした。
                  小説は、説明と描写と会話のバランスが大事とのこと。

                  「描写って何? 」という状態の私……
                  描写はその場の雰囲気や情景をイメージしてもらう伝え方、と言えば
                  お分かりでしょうか?

                  私はそういう表現を意識していませんでした……。それで反省をして、
                  前回のタイタニック・5から描写を入れながら創作しています。
                  (その分、文章がどんどん長くなっています)

                  いきなり上達することはできないので、ちょっとずつ成長し、みなさまに
                  イメージして頂きやすい小説を書けるようになりたいと思います。
                  どうぞ温かくお見守り下さいませ。

                  最終回はMusicを聴きながら読むのはいかがでしょか……
                  http://www.youtube.com/watch?v=DHyJTpDFgc8

                  音楽を聴くと原作を想い出しますね。 >>
                  私は「アッシュ〜! 」と泣きながら書いてました。
                  皆さまはどのように感じられるのでしょうか?

                  以下、バナナフィッシュ創作小説です。お楽しみ下さい。



                  【もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・6】
                  (最終回)

                  客船はとうとう直角に海面からそびえた形になった。甲板にいた人や
                  柵にしがみついていた人は悲鳴をあげて次々と海面に落下していった。

                  そして真ん中から二つにちぎれた船体は、海面に向かって真っ直ぐ落下
                  した。英二とアッシュもその衝撃で海中に投げ出されてしまった。

                  「――アッシュ! 」
                  英二が両手を伸ばして叫んだが、その体は一瞬のうちに
                  波にのみこまれて見えなくなった。

                  「英二! 」

                  アッシュは海面を漂う船の残骸と大量の木片をよけながら、慎重に
                  英二の姿を探した。

                  そして仰向けにぐったりと海面に浮いていた英二を見つけた。

                  (――いた!)

                  アッシュは急いで英二の元にたどりついた。
                  英二の体を抱きかかえて意識があるか確認したが、英二は海中に
                  投げ出されたショックで気を失っていた。

                  「英二! しっかりしろ! 」

                  アッシュは英二の体を揺さぶった。
                  英二の笑顔を――アッシュの心を癒してくれた、大好きなその笑顔を
                  もう一度見たかった。

                  『僕が君の運命を変えてあげるよ―― 』
                   アッシュは英二の言葉を思い出していた。

                  孤独だったアッシュに一筋の光を与えてくれた存在――アッシュにとって
                  大事な大事な唯一の存在をこの世から消したくなかった。
                  命に代えて守りたかった。

                  アッシュは何とか英二を助ける方法はないか必死に考えた。そして海面に
                  浮かぶ木の板――人ひとりがようやく乗れるぐらいの板―― を見つけた。

                  (あの上に英二を乗せれば――)

                  アッシュはわずかな希望にかけることにした。
                  木の板にしがみついたアッシュは、力をふりしぼって英二を板の上に乗せた。
                  少しでも寒さから英二を守るために、自分のジャケットを英二にかけた。

                  「英二――たのむ……目をあけてくれ!
                   神様――英二を助けて下さい……俺を代わりに……。」

                  アッシュは自分より小さな英二の手を握りしめて必死に願った。
                  その時――

                  「うぅ……」
                  英二がわずかにうめいた。

                  「英二? 」
                  アッシュは目を見開いた。
                  願いが通じたのだろうか? 英二はピクッと体を震わせた。
                  だが、まだ意識は戻ってこない。

                  アッシュは片手で木の板にしがみついたまま、英二を励まし続けた。
                  もう片方の手で英二の頬や手をさすりながら諦めずに声をかけた。

                  「英二、しっかりしろ!――お前、アメリカに行って夢を叶えるんだろ?
                   【どんな事があっても生き抜くんだ! 】って俺に言っただろ? 
                   いい加減、目を覚ませよ! 」

                  体力の限界が近いアッシュは次第に声がかすれてきた。
                  英二の体はまだ温かい。そのことがアッシュにとって救いだった。

                  (救助船さえくれば、英二は助かるかもしれない……)

                  大西洋の冷たい水の中で、寒さでアッシュは全身が震えた。
                  どんどん体温は下がり、アッシュの意識も朦朧としてきた。

                  (さすがに無理だな……きっと俺は死ぬ……)

                  自分の死は怖くなかった。怖いのは親友と呼べる愛しい存在が
                  この世から消えることだけだった。

                  「俺は幸せだ……英二、お前に出会えて……」

                  アッシュは英二の指にそっと触れ―― そして手の甲にゆっくりとキスを
                  した。

                  わずか数日の出来事だった。
                  だがそれは確実にアッシュの運命を変えてくれた。

                  英二に出会えた感謝と愛をこめて―― そして英二が助かるように――
                  アッシュはキスに願いをこめた。

                  「ア……シ……ュ……」

                  英二の唇が動いた。かすれるような小さな声だったが、アッシュには
                  ちゃんと聞こえた。
                  うっすらと英二の瞼が開いた。じきに英二は意識を取り戻すだろう。

                  そしてアッシュは はるか遠くに救助船の光を見た。
                  自分の願いが叶えられたのだ。

                  (きっと英二は助かる・・・)

                  安心したアッシュは、微笑みながら瞳をゆっくり閉じた。
                  そして静かに永遠の眠りについた。


                  数十分後。
                  灰色がかったもやの中で救助隊のボートがライトを灯す光が顔にあたり、
                  その眩しさで英二は目を覚ました。
                  だが救助隊は英二を死体と勘違いし、ライトは別方向へ向けられた。

                  「う……ア、アッシュ……。」

                  ひどい頭痛がしたが、英二はゆっくり体を起こした。目の前には、
                  木の板にしがみついているアッシュの姿が見えた。

                  「助けがきたよ……もう大丈夫だ……アッシュ? 」

                  英二はアッシュに伝えようとしたが、反応がない。英二は不安になって
                  アッシュの顔をのぞきこんだ。

                  彼は真っ白い顔になって、手を板の端にのせたまま冷たく凍って息絶え
                  ていた。

                  「アッシュ…… 」

                  英二は驚いて目を見開いた。そして自分が木の板の上に乗っていること、
                  アッシュのジャケットをはおっていることに気がついた。

                  アッシュは自分の命と引き換えに英二を助けてくれたのだ。
                  アッシュの、英二への深い想いが 強烈な痛みと共に感じられた。

                  きっと英二も反対の立場なら、同じ事をしただろう。英二はその愛しい顔
                  を無言で見つめるしかなかった。

                  真っ白なアッシュの顔を見ていると、英二はある想いにとらわれた。
                  ――彼を追って死んだら 天国で会えるかもしれない。
                  しかしその一方で、英二は自分がアッシュにかけた言葉を思い出した。


                  『生きるんだ! どんな事があっても生き抜くんだ! 
                   僕も絶対に生きるから!』

                  (アッシュが命をかけて僕を助けてくれたんだ……僕は、簡単に
                   死ぬわけにいかない! )

                  英二は頭を振り、拳をにぎった。そしてもやのかかった空をにらみつけて
                  叫んだ。
                  「どんな事があっても生き抜くんだ! 運命は変えることができる! 」
                  迷いを捨てた英二は 再び強い心を取り戻した。

                  英二は アッシュの冷たくなった指と頬にキスをした。
                  様々な想いがあった――。

                  アッシュの顔は優しくほほ笑んでいた。

                  「ありがとう。アッシュ……僕を助けてくれて。
                   僕……絶対に生きるよ!どんなに辛いことがあっても生き抜くよ!」

                  その時、英二が乗っていた木の板が割れた。その衝撃でアッシュの手が
                  板から離れた。

                  まるで英二の決意を見届けたように、アッシュは海中に沈んでいった。


                  「――アッシュ! 」
                  思わず英二は手を伸ばしたが、沈んだアッシュの体は見えなくなった。


                  英二は一瞬くじけそうになったが――歯を食いしばり気持ちを切り
                  替えた。今は救助隊に見つけてもらわねばならない。
                  だが体が凍えて声が思うようにでなかった。

                  (救助隊にどうすれば気づいてもらえるだろうか…… )

                  必死に考えて、体を動かした。そして近くにあった船員の遺体の首
                  にかかっていた笛を見つけた。英二は残りの力をふりしぼり、必死
                  に吹き続けた。


                  「オーイ、誰かまだ生きているぞ! 」

                  救助隊のライトが英二を照らした。英二は救助船に助けられた。



                  救助船はニューヨークに着いた。
                  やっとアメリカにたどり着いた――だが素直に喜べなかった。
                   
                  あまりに色々な事が起きすぎた。英二は放心状態だった。
                  救助隊員が英二にかけよって尋ねた。
                  「君――大変だったね。君の名前を教えてくれる? 」
                  「僕は エイジ・リンクス……」




                  そして現在。
                  英二はすべて語り終えた。英二の視線は遠くを見つめていた。

                  「アッシュとの想い出は 自分の心の中にいつまでも残っているよ。
                   忘れることは出来ない。忘れようと考えたこともない。
                   短かったけど精一杯 彼は自分らしく生きたんだ。
                   僕は彼を誇りに思う。」

                  「おじいちゃん、そんなすごい体験をしたのね・・・。」
                   アキラは英二の肩に手を置いた。その目には涙が浮かんでいた。

                  「あぁ。だけど僕はずっと幸せだったよ。
                   彼が僕のそばにいるような――僕の命は彼の命だ――とさえ
                   思ってこの歳まで生きてきたんだよ。
                   アキラ……君も素晴らしい人と出会う事を祈っているよ。」
                  英二は優しく微笑んでアキラの頭をなでた。


                  その夜、英二は『翡翠のピアス』を手にしていた。

                  救助船に助けられた時、英二は はおっていたジャケットの内ポケット
                  に『翡翠のピアス』が入っている事に気が付いた。

                  その時から英二はこれをお守りとして密かに持ち続けていたのである。
                  アッシュの想い出の品はこれしかなかった。

                  英二は静かな海を見て、ゆっくりとつぶやいた。
                  「アッシュ――君の写真を久しぶりに見たよ。僕の記憶していた君のまま
                   だった……また君に会えた気がして嬉しかったよ。」

                  英二は『翡翠のピアス』を優しくなでた後、勢いよく海に投げ落とした。
                  小さな水しぶきをあげて海中に沈んでいった。

                  英二の心には いつまでもアッシュの姿が残り、彼との幸せな想い出に
                  包まれながらベッドで眠った。


                  それから数週間後。
                  英二は永遠の眠りについた。
                  タイタニック・バナナ号の乗客の方々に祝福されながらアッシュと英二は
                  再び出会うのであった。

                  「アッシュ……! 」
                  「英二……! 」


                  -------------------------END------------------------------------------


                  59丁目のアパートメント。
                  TV画面にエンドロールが流れた。

                  こうして話題の映画「タイタニック・バナナ号」のDVD上映会が終了した。
                  映画を見終えた仲間たちの大半が涙を流していた。

                  「俺、感動したぜ……」
                  「英二が薦めたこの映画、かなりヤバいな……」
                  「こんなに泣いたのは久しぶりだぜ……」
                  皆それぞれ感想を言いあっていた。

                  感極まった英二はティッシュで目頭を押さえたが
                  嗚咽はとまらなかった。

                  「おい 英二、大丈夫かよ?」
                  仲間たちが心配して声をかけた。

                  「う……うん……僕、感動してさ……」

                  一方アッシュは涙を見せるのが恥ずかしいのか、
                  腕組みしたまま顔をずっと前に向けて微動だにしない。

                  「――アッシュ? 」
                  「――ボス? 」

                  仲間たちが声をかけた。

                  「――うるせぇ。」




                  仲間たちが帰ったその晩、アッシュが突然言い出した。
                  「おい、英二。映画のあのポーズやってみろよ」
                  「あれって何――?」
                  英二は首をかしげて不思議そうにアッシュを見た。

                  「船首で二人がしていた―― 両手を広げるポーズだよ。」

                  「――え? アッシュ、こうだっけ? 」
                  英二が両手を広げたが、それはどうみても万歳のポーズだった。

                  「英二、そうじゃなくてこうだろ? 」
                  アッシュが見本を見せて両手を広げた。

                  「え―そうだっけ? 僕の方があってるよ。」
                  「英二! ちがうって! 」
                  ムキになってアッシュが強く言い張った。

                  「絶対にこっち!」
                  英二も対抗して、両手をぶんぶん大きく振って主張した。

                  「だから―― こうなんだって! 」
                  らちが明かなくなって、アッシュは英二の背後にまわって両腕をつかんだ。
                  そして手を伸ばし、英二の体を後ろから支えた。

                  偶然にも、二人は映画の主人公たちがとった有名なポーズを自分たちの
                  部屋で再現していた。

                  (あ……映画のポーズと一緒だ)
                  アッシュはすぐに気づいて少し恥ずかしくなった。
                  逆に英二は全く気付いてなかった。

                  アッシュは映画を思い出していた。
                  もし同じ状況が起きたら、自分は英二を命に代えて助けるだろう。

                  (俺は今、英二が目の前にいる幸せを実感できる――)
                  英二が傍にいることを当然だと思っていたが、本当は奇跡的な偶然が
                  重なっていたことに改めてアッシュは気付いた。

                  この幸せを手放したくない―― いつまでも味わっていたい―― 
                  思わずアッシュが背後から英二を強く抱きしめていた。

                  アッシュは背中越しに英二の体温を感じた― 英二は生きている―
                  そのことが嬉しくて、アッシュは英二のTシャツに顔をうずめた。

                  「うわ! アッシュ――ふざけるなって!」
                  英二は アッシュにからかわれたと勘違いした。

                  「別にいいだろ――? 減るもんじゃないし。オニイチャンはコンパクト
                   サイズで可愛いから、つい抱きしめたくなるよ。」

                  映画のせいで、感傷的になっていたアッシュは英二に甘えたかった。
                  だが素直に口にすることができず、嫌味になってしまった。

                  英二はアッシュの気持ちに気付いていないどころか、
                  本気でからかわれていると勘違いしていた。

                  「なに? 年下のくせに――! この――! 」
                  「アハハハッ! 俺を捕まえることができると思っているのか? 」

                  ドタバタと二人は追いかけっこを始めた。
                  その想像しい足音で 先ほどまでの感傷的な気分はどこかに
                  消えてしまった。

                  いつもの明るい二人の笑い声だけがアパートに響いていた。


                  <完>  ※この下にあとがきがあります


                  長編シリーズ、タイタニック版がようやく終了しました。
                  お読み頂いた皆様、ありがとうございます。

                  最後まで読まれた方は、ぜひ下の拍手ボタンから感想を下さい★
                  拍手だけでも嬉しいのですが、何かひとことあると数倍嬉しいです。
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                  あなたの言葉・メッセージが更新の励みになっていますよ。
                  メッセージをくれないと更新の速度をゆるめちゃうかも(←鬼)
                  ……大変失礼しました(笑)

                  さて、今回のラストですが、実はDVD上映会の内容だったという
                  この展開、どう思われましたか? 

                  このブログはアッシュと英二を幸せにしてあげたいという想いで
                  創作していますので、こういうラストになりました。
                  どうぞご了承ください。

                  長くなりましたが、お読みいただきありがとうございました。
                  続きを読む >>
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                  もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・5
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                    らぶばなです。 BANANA DREAMへようこそ!

                    前回、フォックスの罠にかかった英二は 手錠をかけられ、
                    船底の部屋に監禁されました。そして今回、アッシュが英二を
                    救出するために奮闘します。

                    映画では、ローズが手錠で拘束されたジャックを助けましたが、
                    その時ローズは手錠をオノでたたき割りました。
                    私はそのシーンでふと疑問を感じました。

                    手錠のつなぎ目をオノで割っても、完全に取れないのでは・・・・・・?

                    鍵を差し込まないと、手錠は手首に付いたままではありませんか?
                    (私の勘違いかもしれないので、どなたか知っていたら教えて下さい……)

                    手錠のイメージができずに困ったので、私はオノで割りやすい手錠を探す
                    ことにしました(笑)

                    探していると、種類がたくさんありました。面白いのでほんの一部ですが
                    ご紹介します。(誤解のないように言いますが、変な趣味はありませんよ。)


                    これはステンレス製手錠です。このタイプが一番多かったと思います。
                        ▼▼
                     
                    手首の部分に鍵穴があるので、たとえ斧で叩き割っても、
                    鍵がなければ手首に手錠がついたままになりそうですね。
                    私の評価は50点です。


                    これは地下牢用手錠です。囚人用なので迫力があります。
                       ▼▼
                     
                    この手錠は、手首に当たる部分の太さがイメージに近いのですが
                    六角レンチが無いと解錠できません。よって評価は60点です。

                    そして理想に近い手錠を見つけました!

                    金属製南京錠付き手錠です。
                      ▼▼

                    南京錠をはずしたらこの様にとれます。
                      ↓ ↓
                     
                    この手錠は南京錠のU字になっている部分さえ壊せば、
                    手首からすぐにはずせますよね? 私の評価は85点です。
                    今回の創作で出てくる手錠は、これをイメージしてください。

                    さて、長々と私のくだらない話にお付き合いいただきましたが、
                    そろそろ本編に入ります。

                    とうとう氷山が客船にぶつかります。アッシュと英二の運命は
                    どうなるのでしょうか?
                    以下、バナナフィッシュ創作小説です。お楽しみ下さい。



                    【もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・5】



                    深夜、タイタニック・バナナ号は 寒い北大西洋を西に進路を
                    とっていた。甲板の船員が 船の前方にそびえる氷山を発見した。
                    そのあまりの巨大さに驚いた船員は 大声で叫んだ。


                    「氷山だ、ぶつかるぞ!」


                    船員が必死に舵を切り、氷山との正面衝突は避けたが、船は氷山の側面と
                    接触してしまった。大きな衝撃と振動が船内を駆け巡った。

                    「何だ? 」
                    船底にいた船員が穴を発見した。

                    「大変なことが起きた! 」

                    壁が破れ 埃が舞い散り、衝撃によってできた亀裂から 海水が勢いよく流れ込んできた。


                    豪華客船は浸水が始まったが、上の1等乗客は優雅にふるまっていた。
                    彼らは「絶対に沈まない」と宣伝されているこの船を信じていた。


                    アッシュはゴルツィネ、フォックスと共に食後のお茶会に参加していた。
                    アッシュの耳には『翡翠のピアス』がつけられていた。
                    白く柔らかな肌にきらびやかな宝石が輝いていた。

                    アッシュは、ティーカップに注がれた琥珀色の紅茶に手をつけることなく、
                    その揺れる水面をじっと見つめながら 考え事をしていた。


                    (やはり英二が宝石を盗んだとは思えない……これはフォックスが
                     仕組んだ罠ではないか? )

                    拘束された時、 英二は「僕を信じて」とアッシュに言った。
                    英二は黒い瞳を大きく見開き、まっすぐアッシュを見つめていた。

                    アッシュは 英二に会って真実を確かめたい気持ちにかられ、席をたった。

                    「アッシュ、どうした? 」
                    「すみません。気分が悪いので、先に休ませていただきます。」
                    「大丈夫か? 今日は色々あったからな……。
                     ゆっくり休みなさい。」


                    アッシュはダイニングルームを出たが、部屋へ戻らず
                    英二が監禁されている船底へ向かった。


                    アッシュは 船底に向かう途中で船の異変に気付いた。
                    船底の3等乗客が必死の形相で上へ上へと押し寄せてくるではないか。
                    荒々しい足音・先を急ぐ3等乗客の罵声が通路に響いていた。


                    アッシュは乗客の一人を無理やりつかまえて聞いた。
                    「何が起こった?」
                    「船が氷山にぶつかった。この船は沈没する! 分かったら放せっ! 」
                    「何だって!!  」
                    (英二が危ない!急いで助けないと! )



                    手錠をかけられた英二は 船底の薄暗い部屋に監禁されていた。
                    粗末なベッドと机、椅子しか置いていない部屋は狭く、かび臭かった。

                    ドアは外側から施錠されており、英二は部屋を脱出できないでいた。
                    「誤解が解ければ、解放されるだろう」と英二は呑気に考えていたが、
                    船底を走る人々の足音と罵声がこの部屋にも響きわたり、非常事態が起きた
                    事が分かった。

                    更に木製ドアの隙間から海水が侵入し、じわじわと床一面に広がりだす
                    様子を見るうちに英二は恐怖心でいっぱいになった。

                    自由の利かない手首を振り上げ、木製ドアを懸命に叩いた。
                    手錠が肌に擦れ、その痛みで顔をゆがめながらも英二は叫んだ。
                    「助けて!ここから出して!」

                    「英二! どこだ? どこにいる? 」
                    アッシュは、船底の部屋のドアを1枚ずつ開けて、英二が監禁されて
                    いないか確認していた。

                    (たのむ……間に合ってくれ!)

                    その時、アッシュはある部屋からドアを叩く音が聞こえた。

                    「英二? 」

                    英二もアッシュの叫び声が聞こえた。
                    (いま……確かにアッシュの声が聞こえた!)

                    「アッシュ! ここだよ! 僕はここにいる!」
                    英二は必死に両手でドアを叩いた。水位は膝上にまで
                    上がってきていた。


                    「ここにいるんだな、英二?」
                    「うん! ここにいるよ!」
                    「今あけてやる! ドアから離れろ!」

                    アッシュは他の部屋から猟銃を持ち出した。そしてドアノブまわりを
                    1周するように正確に撃ち抜き、更に足でドアを蹴り上げた。
                    木製のドアは みしみしと音をたて、水面に水しぶきをあげて倒れた。


                    「アッシュ! 」
                    英二が笑顔を見せた。

                    「英二、悪かった……! お前を疑ってしまって。
                     こんなもの、お前が欲しいと思う訳ないのに!」


                    アッシュは耳につけていた『翡翠のピアス』をはずし、
                    ジャケットの内ポケットにしまった。

                    「今すぐその手錠をはずしてやる!」


                    アッシュは、手錠をはずす道具を探すために部屋を出た。

                     


                    その頃、船の設計者は船長にこの船があと1〜2時間で
                    沈没することを伝えていた。


                    船長によりSOSが発信され、救命ボートが下され始めた。
                    だがボートの数は乗客全員を助けられられない。
                    女性と子供から避難が始まった。


                    ゴルツィネとフォックスもようやく船が沈むことを理解した。
                    フォックスは焦った。

                    「まずい、このままでは…… 養子縁組の話どころではない……」

                     


                    海水は船内にどんどん流れ込み、船を飲み込み始めた。
                    アッシュは胸まで迫る海水の中を探し、オノを発見して
                    英二のいる部屋に戻ってきた。


                    「英二、このオノで手錠を叩き割ってやる! 
                     南京錠のU字の部分を壊せばその手錠は必ずはずれる。
                     怖いと思うが…… いまは俺を信じてくれ! 絶対に動くな! 」
                    アッシュは手錠でつながれた英二の手を握りしめて言った。


                    「うん…… 僕は君を信じている!」


                    恐怖心でいっぱいのはずなのに、英二はアッシュをまっすぐ見つめた。
                    そして机の上に手首をのせた。

                    「いくぞ……!! 」

                    アッシュは力いっぱいオノをふり上げた。
                    その瞬間、英二は思わず目をきつく閉じた。
                    鈍い音が両手に響きわたり、英二は何が起こったのか分からなかった。

                    英二はゆっくりと片目ずつ目を開けた。
                    南京錠はグニャリと曲がり、半分にちぎれていた。

                    英二は ずっと手首を締め付けていた手錠を外した。
                    ようやく手首を自由に動かすことができるようになった。


                    「アッシュ、ありがとう! 」
                    英二はアッシュに抱き着いた。

                    「あぁ! ここを早く出よう! 上に行くぞ! 」
                    ホッとしたのもつかの間、手を取りあってすぐに部屋を出た。


                    二人はようやくデッキの上に出ることができたが、そこは
                    逃げ惑う人々でごった返し、悲惨な状態だった。



                    1等乗客は女性客からボートに乗り移って行った。
                    フォックスは男性にも関わらず、金の力と暴力で船員を脅し、
                    何とかボートの席を3人分予約することができた。


                    「ゴルツィネとアッシュを何としてもボートに乗せないと
                     養子縁組の話がなかったことになってしまう・・・。」


                    ゴルツィネにはボートの席を確保するから
                    上デッキで待っていてほしいと伝えていた。
                    後はアッシュを見つけるだけだった。

                    人々の混乱の中、フォックスはデッキに上がってきた
                    アッシュと英二を発見した。

                    (あいつら! アッシュめ、消えたと思ったら……)

                    「アッシュ! 早くボートに乗りなさい!」
                    フォックスがアッシュの腕をつかまえた。
                    だがアッシュは答えない。心配そうに英二を見つめた。


                    フォックスは、アッシュが英二がボートに乗れないことを
                    心配していることに気付いた。


                    「英二君の席は向こうのボートにとってある。
                     だからアッシュ、安心して乗りなさい。」


                    「アッシュ、ボートに乗って! 僕は向こうの
                     ボートに乗るから!」

                    「英二……」

                    英二の説得でアッシュはフォックスと共にボートへ
                    乗り込んだ。

                    「アッシュ、お前はここで待っていなさい。
                     私はムッシュウを連れて来る。」

                    英二はフォックスが嘘をついている事が分かっていた。
                    だが、どうしてもアッシュにボートへ乗ってほしかった。
                    英二がアッシュのいるボートに向かって大声で叫んだ。


                    「アッシュ! 生きるんだ! どんな事があっても
                     生き抜くんだ! ……僕も絶対に生きるから! 」


                    ボートのロープがゆっくり下され始めた。アッシュは救命ボートから
                    人々を掻き分けて、船の本体の柵にしがみついた。


                    驚いたフォックスは アッシュを引き留めようと追いかけた。
                    銃で英二を撃とうとしたが、勢い余って海中に落ちた。

                    「うわ! 助けてくれ! 」

                    だが、パニックになっている客船の乗客にその声は届かず、まして
                    ボートに乗っている女こども達ではフォックスを助けることなどできなかった。
                    おぼれた後にフォックスは海中に沈んでしまった。



                    客船では、英二がアッシュの腕を引っ張って船に引き上げた。


                    「アッシュのバカ!!どうして戻ったの?」
                    英二はアッシュに思わず抱きついた。


                    「俺は、偽物しか得られないあいつらより、本物の愛情を示してくれる
                     お前の方を選びたかった…… 後悔はしていない。」


                    「アッシュ、本当にバカだよ…… でも、僕は嬉しい。」


                    二人は感動して涙を流したが、タイタニック・バナナ号は
                    どんどん角度を大きくして海中に沈み始めた。甲板から
                    滑り落ちて叫び声とともに海に落ちるものも大勢いた。



                    その頃、ボートの残席を巡って争う人々や、混乱を鎮める
                    ために発砲される銃声を静かに見聞きしていたゴルツィネは
                    すでに自らの死を覚悟していた。

                    側近に命令して用意させた最高級のスーツを着て、豪華な
                    皮の椅子に座り、葉巻をゆっくりふかした。

                    その手には 英二が撮影したアッシュの写真を持っていた。
                    彼は数枚の写真を自分の金庫に入れた。


                    「私は最後まで誇り高く、そして紳士らしく海に沈んでいく。」
                    ゴルツィネは、最後の瞬間まで誇り高く振舞った……。



                    <続> 次回最終 
                     


                    次は最終回です。二人はどうなるのでしょうか?
                    もし楽しんで頂いたのなら、下の拍手ボタンを押していただけると
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                    もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・4
                    0

                      らぶばなです。タイタニック編は中盤にさしかかりました。
                      6話くらいで終了予定です。

                      イラストが描けないので挿絵の代わりにタイタニック船の画像
                      探していたら、面白いものを見つけました。
                         ▼▼

                      タイタニック プラモデル
                       ですが、よくできてますよね?

                      日本人は手先が器用だなぁなんて思っていたら、
                      また発見しました。これもプラモデルです。
                         ▼▼

                      全世界1500個限定 タイタニック
                      です。
                      シンプルだけど、カッコいいです。
                      売り切れ続出らしいです。


                      こちらは何と照明器具付きの本格的な模型です。
                      タイタニック 模型(照明付)
                         ▼▼
                       

                      客船だけでなく、レアな模型もありました。
                      タイタニックボート救命艇
                         ▼▼

                      木製帆船模型 ライフボードです。
                      こんなものまであるなんて!

                      タイタニック号のイメージが何となくできたでしょうか?
                      かつて映画で見た方も思い出されましたか?

                      さて、
                      今回の創作話ですが、自分でも気に入っています(←自画自賛)

                      アッシュが英二に癒されて、素直な気持ちで寄り添って
                      いる
                      からだと思います。ですが英二にワナが・・・・・・

                      タイタニック [DVD] で、幸せの絶頂の後 ジャックに
                      アクシデントが訪れたあのシーンを参考にしています。
                        ▼▼



                      ※以下、バナナフィッシュ創作小説です。お楽しみ下さい。



                      【もしも映画タイタニックをアッシュと英二が演じたら・4】



                      23時。アッシュは部屋を抜け出して上デッキに来た。
                      乗客はそれぞれの部屋ですでに休んでいるらしく、
                      上デッキに人影はない。


                      英二が物陰からひょっこりと顔をだし、アッシュを手招く。


                      「・・・アッシュ、こっちこっち!」


                      アッシュは英二が手招く方向に向かって走る。
                      二人は再び手をとりあって、タイタニック・バナナ号
                      船内を駆け回った。


                      二人は船底の荷物室にたどり着いた。


                      「ここはどこだろう?アッシュ、あの車は何だっけ?」


                      「あれは・・・フォードの新車だよ。」


                      「わ〜すごいね。あ、ドアが開いたよ!」


                      「英二、フォードの中でひと休みするか?」


                      「いいね、それ。」


                      探検気分で二人はフォードの後部座席に乗り込む。


                      「僕、アメリカで修行して、世界中の車を
                       カメラにおさめたいな。」


                      英二が目をキラキラさせて言う。


                      「運転するんじゃなくて写真を撮りたいのか?」
                      アッシュがクスッと笑う。


                      「うん、僕はカメラマンになりたいんだ。
                       小さな写真館でアシスタントをしてたけど、
                       店主が亡くなって仕事が出来なくなったんだ。
                       アメリカに渡ったら、働きながら写真の勉強をするつもり。」


                      「英二、お前なら絶対にできるよ。」


                      「アッシュ、僕を応援してくれるの?嬉しいな。
                       僕もアッシュの事を応援するよ。
                       絶対に自由になって 自分の夢を見つけて
                       幸せになるとね・・・」


                      「英二、ありがとう・・・
                       誰かに自分の事をこれほど気にかけてもらったのは
                       お前がはじめてだ・・・」



                      英二はアッシュの両肩に手を置いて言う。

                      「僕は君の為だったら何でもするよ。
                       いつだって君の味方だ。
                       だから心配しないで。」


                      まっすぐに英二はアッシュの瞳を見る。
                      アッシュは冷え切っていた自分の心が英二によって
                      温められてくるのを感じた。

                       


                      いつの間にか二人はフォードの中で眠っていた。
                      英二は夢でうなされるアッシュの声で目が覚める。


                      「アッシュ、大丈夫?」


                      英二がアッシュの背中をさすってあげた。


                      「・・・夢をみた。」


                      目覚めたアッシュは怯えていた。


                      「自分が恐ろしい・・・
                       何も感じない・・・俺は・・・」


                      英二がアッシュの肩に優しく触れた。


                      「何があっても僕は君の味方だ。
                       君の傍にいるよ。」


                      アッシュの瞳から涙がこぼれた。
                      そして英二の肩にもたれてじっとしている。


                      「英二、この船の中だけでいいから、
                       そばにいてくれ・・・」


                      「うん。船を出てからもずっとだよ」


                      「・・・・・・・」



                      アッシュは英二の頬に優しくそっとキスをした。



                      英二はアッシュの肩に腕をまわして
                      彼が落ち着くまでずっと温かい言葉をかけ続けた。


                      ずっと車の中に二人はいたので、いつの間にか
                      ガラスが熱気で曇っていた。


                      それを見たアッシュが突然切り出した。


                      「俺の部屋に行こうぜ」 


                      「え、いいの?」


                      「あぁ大歓迎だ。友達を招くのは初めてだな。」

                       

                       

                       

                      二人はアッシュの部屋に入った。
                      英二はこんな豪華な部屋を見るのは初めてだった。


                      「わ、すごい!カメラがある!」


                      「それはゴルツィネから貰ったんだ。」


                      「アッシュ、このカメラすごく貴重なんだよ。」


                      「英二、よければ使ってみるか?」


                      「いいの?」


                      英二は目をキラキラさせて喜ぶ。


                      「じゃぁアッシュ、君を撮影させて。」


                      「俺か?あぁ構わないぜ。」


                      英二はカメラをセットし始めた。
                      ふと机の上に無造作に放置された翡翠のピアス
                      に目がいく。


                      「この宝石はすごく綺麗だね。
                       アッシュ、せっかくだから身に付けてみてよ。」


                      アッシュはゴルツィネからの贈り物だと英二には
                      言えなかった。だが英二の頼みなので断るわけに
                      いかなかった。


                      (まぁいいか・・・これぐらい・・・)


                      アッシュはピアスを耳に付け、写真撮影が始まった。


                      英二に撮影される写真はとても楽しいものだった。


                      「僕、もっと上手になってアッシュを綺麗に撮影して
                       あげるね!」


                      「楽しみにしているぜ。」


                      アッシュも調子にのって上半身裸になったり、
                      おちゃめなポーズをとったり、モデル役を楽しんだ。


                      現像の作業を二人で行い、
                      できあがった写真を見てアッシュは驚いた。生き生きと笑っている
                      自分が写っていたからだ。


                      「よく撮れてるじゃないか。」


                      「本当に?あ、君の表情とてもいいね!
                       モデルが良かったからだよ。」


                      「お前、褒め上手だな。」


                      (不思議だな。こいつと一緒にいると
                       温かくて穏やかな気分になる・・・)


                      その夜、アッシュの部屋で おしゃべりをしながら
                      アッシュと英二は一緒に楽しい一晩を過ごした。

                      アッシュはそんな夜を過ごしたのは初めてだった。


                       

                      翌朝、フォックスがアッシュの部屋に入ってきた。


                      アッシュと英二が同じベッドで眠っているのをみて
                      フォックスは驚く。


                      「何だこれは・・・」


                      テーブルの上には、昨晩アッシュと英二が一緒に現像した
                      写真が数枚と、
                      ゴルツィネからもらった『翡翠のピアス』が無造作に放置されていた。


                      「こいつ・・・どういうつもりだ?」


                      フォックスは『翡翠のピアス』を手にとった。

                      「お前たち、起きろ!!」

                      アッシュと英二を乱暴に起こした。


                      「お前・・・なぜアッシュと一緒にいるんだ?
                       近づくなと言っただろ?」


                      アッシュと英二に緊張が走る。
                      アッシュが英二をかばう。


                      「俺は決めた。お前達とは決別する!
                       言いなりになるのは止めた!」


                      「アッシュ・・・」


                      英二がアッシュの決断を感慨深くを見つめる。


                      「お前は何を言っているんだ?ムッシュウに
                       知れたらどうするんだ?」


                      「俺は養子になんてならない!」


                      「アッシュ・・・お前・・・俺に刃向ったら
                       どうなるか分かってるのかよ?
                       その小僧を殺してもいいんだぞ・・・」


                      フォックスが冷酷に笑う。そして銃を手にした。


                      アッシュは殺されるかもしれないと思った。
                      自分が死ぬのはよいが、英二を巻き添えには出来ない。


                      緊迫した空気が漂う中、突然ドアをノックする音がした。
                      部屋を訪ねてきたのはゴルツィネだった。


                      ゴルツィネの顔をみた途端、フォックスが態度を急変させた。
                      銃をすぐ隠して、作り笑顔を見せる。


                      「ムッシュウ、どうされたのですか?
                       わざわざこちらにお越しいただくだなんて。」


                      「いや、我が息子を一目見たいと思っただけだよ。
                       ・・・む?どうかしたのかね。」


                      ゴルツィネはこの部屋で何かが起こったことを
                      感ずいていた。


                      フォックスは自分がアッシュと英二を脅していたことを
                      知られるのはまずいと思った。


                      とっさに自分の手に持っていた『翡翠のピアス』を
                      利用する悪知恵が働いた。


                      フォックスは、英二をゴルツィネの前に引っ張り出した。


                      「ムッシュウ、この男が『翡翠のピアス』を盗んだのです!!」


                      そういって自分の手を英二のズボンのポケットに入れて、
                      まるで英二が『翡翠のピアス』をポケットに隠しもっていたかの
                      ようにゴルツィネに見せつけた。


                      「何だと!この男を捕えろ!!」


                      大事な跡取り息子へのプレゼントを名も知らぬ男に盗まれたと
                      勘違いしたゴルツィネは怒った。


                      「違う、僕は盗んでなんかいない!」

                      英二が必死に否定するが聞き入れられない。


                      フォックスの上手なウソに周囲は完全に騙されている。
                      アッシュですら一瞬騙されてしまった。


                      「英二?まさか・・・そんな・・・」


                      「アッシュ、僕は君を裏切るような事はしていないよ!
                       信じて!」


                      「こいつを連れていけ!」


                      ゴルツィネの命令により、英二は逮捕され、
                      船底の監禁室で手錠をはめられ、閉じ込められてしまった。        


                      <続>  ※この下に英二のつぶやきがあります。   



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